マインドフルネス効果も! 腹式呼吸で自分と向き合う
第1回はシンガーソングライター、ボイストレーナーのLillia(リリア)さんに、声が出る仕組みと腹式呼吸の重要性についてお伺いしました。教えていただいたお風呂での腹式呼吸トレーニング、早速実践してみたところ、頭の中がスッキリするような爽快感がありました。皆さんはいかがでしたか?
第2回の今回は、さらに踏み込んだ腹式呼吸のトレーニング方法、そして近年、メディアでも取り上げられているマインドフルネスとの関連性についても語っていただきました。
——前回は腹式呼吸の実践法として、日頃から姿勢を正すこと、余計な力みを抜くためのちょっとしたトレーニングを教えていただきました。その他に、身体や心に効く効果ってあるんでしょうか?
「身体の力を抜いて自分の呼吸に集中することは、今話題のマインドフルネス(瞑想)の実践方法のひとつにもなり得ると言われているんです」
——それは興味深い話ですね。ぜひお聞かせください。
「例えば、いざ瞑想しようとしても、顔が痒いとか、お腹が空いたなあとか、つい余計な雑念が湧いてきちゃいますよね(笑)。でも腹式呼吸を意識しながら、大きく息を吸って、ゆっくり吐いて……と繰り返しているうちに、だんだん雑念が消えて、自分の呼吸だけに意識が集中してくるんです」
——身体のどの筋肉やどの部分を使って呼吸をしているのか……普段、考えたこともなかったなあ。いい脳のトレーニングになりそうですね。
「呼吸って、生命維持の基本ですよね。呼吸に集中して自分自身という存在そのものに意識を向けることで、今のあるがままを見つめ直すいい機会にもなりますね」
——まさに、心と身体に効く呼吸法、という訳ですか。
「実際のステージでも、雑念にとらわれず無心で歌った時ほど聴き手の方に『心に響いたよ』と言っていただけることが多いんです。逆に、うまく聴かせようといった余計な考えが浮かぶと駄目ですね」
——うまくやろうとすると駄目だというのは、スポーツ理論でもよく言われています。Lilliaさんも同じような感覚を持っていらっしゃるんですね。
ストレッチで身体の潜在能力を目覚めさせて!
——やはり腹式呼吸のトレーニングに腹筋運動は有効ですか?
「はい。腹筋を鍛えること。それとストレッチです。私が教えているボイストレーニング教室では、発声練習の前に、生徒さんにストレッチをしてもらっています。凝り固まった筋肉をほぐさないまま歌っても、なかなかいい声は出せません。
私が教えていただいている村尾隆男先生曰く、ラップでグルグル巻きにした金管楽器を鳴らすようなものですから(笑)」
——ははは、それは確かにいい音が出ないですね(笑)。
「お相撲さんがよくやっている『股割り』もお勧めですよ。両脚の間にある神経の束(神経叢)を刺激する効果があるそうです。股関節のストレッチは、歌だけではなく身体を使うことすべてにおいて、非常に重要だと言われています。
無理して筋を傷めない程度に、毎日コツコツとストレッチを続けていけば、少しずつ身体の柔軟性が出てきますよ。筋肉がこわばっていると、本来の力や身体の機能が100%発揮できないですからね」
——確かに私は身体が固い方ですね。身体がうまく使えていないから、声もきちんと響かないのかもしれません。歌い方のテクニックについての記述はよく見かけるんですが、Lilliaさんに教えていただいた身体の使い方は、まさに基本中の基本、という気がします。
「実は、発声法は人によってメソッドが違うというか、様々な説があるんです。でも私自身は、余計な力を抜いて身体の神経伝達をスムーズにしてあげた時に、いわゆる『いい声』が出せているという実感を持っているんです」
——自分がきちんと腹式呼吸ができているかどうかを確認するには、どうしたらいいでしょうか?
「まず息を大きく吸って、吐き出す時に胸骨が動いていないかチェックするのがいいと思います。歌う時に自分の胸元を触ってみたり、鏡で見てみるとわかりやすいですよ。どうしても力の抜き方がわからないという方は、一度、ボイストレーニングを受講してみるのもいいと思います」
——ありがとうございます。次回は、自分の声や歌に自信のない方に向けたアドバイスと、歌う時のちょっとしたコツについてお聞かせください。
(続く)
4歳からピアノを習い、音楽大学の声楽科を卒業。現在はシンガーソングライター、ボイストレーナーとして活躍中。1st.マキシシングル『Earth』をリリース。
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